医療ダイエット
① ブドウ糖再吸収阻害薬(SGLT2阻害薬)治療
SGLT2阻害薬とは・・・・
腎臓で糖を再吸収するたんぱく質(SGLT2)を阻害し、糖を尿中へ排泄するお薬です。
糖尿病治療薬として保険適応があります。
薬の作用によって、1日あたり約400キロカロリーのブドウ糖が尿中へ排出されるため、ダイエット効果が期待できます。
商品名としてカナグル、スーグラ、フォシーガ、ジャディアンス、デベルザ、ルセフィ等があります。
SGLT2阻害薬による減量効果
各薬剤で多少違いありますが、減量効果があることが報告されています。
(平均で-3%程度、50kgの人なら1~2kg、70kgで2kg程)。
日本では、肥満治療としては保険適応が無いため、自費診療になります。
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例:カナグル100mgの減量効果
海外でのデータ:12週間後の体重変化率は、-2.9%であった。
- 日本人での糖尿病薬としての臨床試験における、体重評価
- 結果:4週間以降は有意差をもって体重が減少しています。
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例:カナグル100mgの副作用
頻度の多いもので、頭痛12%、尿路乾癬8%、外陰感染症5%(すべて女性)等。
SGLT2阻害薬を使用できない方
- ・SGLT2に過敏症・アレルギーの既往のある方
- ・心臓、腎臓、肝臓、膵臓に異常のある方
- ・糖尿病既往や現在治療中の方
- ・大きな外傷や手術を控えている方
- ・妊婦、授乳中、または妊娠の可能性のある方
- ・尿路感染症や性器感染症のある方
当院では主にカナグル100mgもしくはルセフィ2.5mgを採用しています。
朝食前か朝食後に1日1錠内服します。 異常を感じたら、再診してご相談ください。
- 副作用
この薬の特徴として服用中はのどが渇くことがありえます。水分をしっかりと摂ってください。その他、吐き気、食欲減退、便秘、腹痛、倦怠感などが見られる場合があります。
腎盂腎炎、低血糖、ケトアシドーシスというような症状もあると言われていますが、これらの症状が起こるケースはとても稀なのでほとんどの方は気になさらないで大丈夫です。気になる症状が出現した場合は、医師にご相談ください。
② GLP-1内服(リベルサス)ダイエット
GLP-1とは体内に存在するホルモンで、食欲を抑制する働きがあります。
欧米では肥満治療薬として用いられています。
GLP-1製剤はこれまで注射のみしかありませんでしたが、新たに内服薬(商品名:リベルサス)が発売されました。日本では糖尿病治療薬として保険適応になっており、肥満治療薬としての保険適応は無いため、自費診療となります。
リベルサスの減量効果
糖尿病治療薬として、世界中で承認されており、副次的に減量効果があることが報告されています。海外では、GLP1注射製剤が肥満治療薬として承認されていますが、飲み薬ではまだ承認されていません。 ただし、内服GLP-1製剤でも注射と同様に減量効果は確認されています。
GLP-1製剤の減量効果を比べたレビューが報告されており、GLP-1製剤の中で減量効果が高いのは、ビクトーザ(注射)、オゼンピック(注射)、リベルサス(飲み薬)の3剤であることがわかっています。
以下、GLP-1製剤による研究の体重減少効果に対するグラフです。(注意:これらの研究は糖尿病治療に伴う、副次的な減量効果を評価したものです。)
GLP-1製剤(リベルサス)の特徴
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① 成功しやすい。
ダイエットには正しい食事管理が最も重要です。
最も重要である食事管理を強力にサポートしてくれるのがGLP-1ダイエットです。
GLP-1は食欲を抑える作用があり、「1回の食事で食べ過ぎない」「間食をしないようにする」と言った、ダイエットの基本である食生活の改善を強力にサポートしてくれます。
自然と摂取カロリーが減るため、健康的に体重が落ちていきます。 -
② 継続しやすい。
ダイエットでは食事管理が最も重要です。
自分で食事をコントロールできればよいのですが、食事管理はストレスを感じやすくうまく行かないことが多いです。
GLP-1ダイエットでは自然に食欲が抑えられるため、ストレスを感じにくく継続できます。
(※欧米では高度肥満治療に保険適応で合って、すべてのダイエットに保険適応というわけではありません) -
③ 注射ではなく、飲み薬
GLP-1に興味はあったが、注射のため抵抗感があった人にも安心です。
1日1回の内服で、GLP-1ダイエット治療を始められます。
注意点
GLP-1ダイエットの高いダイエット成功率が注目される一方で、間違った広告が問題になっています。特に効果や副作用について、間違った情報には注意してください。
- 我慢・努力は一切なし!楽して痩せる!
- ダイエットをする意識があれば、強力なサポートになります。ただし、あくまで食事管理をサポートするもので、何もしなくても自動的に痩せるわけではありません。
- つらい思いは一切なし!
- どんな薬剤にも副作用のリスクはあります。特に、消化器症状で、気持ち悪さ(吐き気)が出る人もいますので、初回は慎重に始めます。
- 1カ月で10kg体重減少!
- リベルサスは摂取カロリーを適切に調整し、食べ過ぎないことでダイエットをサポートしてくれるダイエット法です。
最初の2週間で2kg以上のダイエットに成功する方は結構いらっしゃいますが、1か月で10kgのような急激な体重減少を狙ったダイエットではありません。
(1か月で2桁の減量自体間違ったダイエットですし、健康被害があります)
GLP-1ダイエット飲み薬(リベルサス)の使い方
- ① まずはリベルサス0.3mgで治療を開始して、3か月間継続します。
- ② 食欲が止まらなければ、3か月後に0.7mgに増量します。
- ③ 食欲が止まっていれば、その量を維持量として継続します。
- ④ どうしても食欲が止まらない場合、高度肥満の方は14mgまで増量します。
(ただし、14mgまで増量すると、消化器症状の副作用が多いです。)
本剤の吸収は胃の内容物により低下します。
1日のうちの最初の食事・飲水の前に、空腹の状態でコップ約半分の水(約120mL以下)で服用します。服用後少なくとも30分は、飲食及び他の薬剤の経口摂取を避けます。
ポイント
- ・服用前の絶食時間を作る。
- ・服用後の絶飲食時間を長めに。(添付文書では30分以上。2時間程度あけるとより良い。)
- ・水は、少量がよい。
- ・錠剤の添加剤も影響する。同じ容量であっても、7mg 2錠より、14mg 1錠の方がよい。
- 副作用
治療初期(特に1か月以内)に胃部不快感・胃が張っている感じ・頭痛・便秘・下痢といった消化器症状が出ることがあります。
③ 強化版GLP-1受容体作動薬(マンジャロ)ダイエット
「強化版GLP-1受容体作動薬」のマンジャロは非常に高い体重減少効果作用を持っています。
世界初の持続性GLP-1受容体作動薬は週に1回、皮下注射する形で投与する薬剤です。
マンジャロには、強力なHbA1低下効果と体重減少効果があることが報告されています。
2型糖尿病を対象とした海外での研究データですが、これまでに日本で販売されていた糖尿病治療薬の中で最も体重減少効果が強いとされていたオゼンピックと比較しても非常に強いHbA1c低下効果と体重減少効果があることが示されています。
糖尿病治療の場合は保険適応ですが、ダイエット目的の場合は自由診療のため自費扱いになります。
BMI18以下の方はお断りしています。
また、既往歴など確認させてもらい医師の判断によりお断りさせて頂く事もあります。
ご了承ください。